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税理士の休日

乱読

2012.06.21

加藤純一

本・・・よく読みますね。
読書って、趣味というより、食うこと・寝ることといった、人の自然のいとなみのような気がします。だから時間があれば15分でも、いつでもどこでも読みますが、だいたいは移動の時間、電車内が多いです。顧問先へ行ったが20分ぐらい早めに着いたのでコンビニのコーヒーを飲みながら車の中でとか、蕎麦屋に入って、蕎麦が出てくるまでの時間とか。
従ってジャンルもミステリーや刑事ものなど肩のこらないものが多いですね。
 今は、本選びは、平積みの文庫本で帯の言葉につられて買うことが多くなりました。
この間も「40万人が泣いた感動のベストセラー」につられて買いました。
 本多孝好の「MOMENT」(集英社文庫)
  末期の患者の耳にしか入らない必殺仕事人のうわさ、死を間近にした患者の願い事を最後に一つだけかなえてくれる人がこの病院にいる、という話で、4人の患者の願いが語られています。第一話は、これで泣けるのか、と思いながら進むうちに、やはり最後はウルッときましたね。
  そして、MOMENTの姉妹編の「WILL」。
  こちらはMOMENTに出てくる葬儀屋(29歳、女性、独身)が主人公で、その葬儀屋に相談に来る人たちの話ですが、こちらも泣けますよ。
皆さんは、本を読んでいて、出てくる主人公などが知っている人の顔に変わっていくということはありませんか。テレビでみる顔が多いですが、仕事関係者、昔の同級生など様々ですが、あるときから自然とその顔になっていくんですね。映画館では暗い中で画面に集中し、自分が登場人物になりきって観るから面白いんだ、と思いますが、本も、ある特定の顔が浮かんでくると面白さも倍増するような気がします。「WILL」の女性葬儀屋は身近の人の顔が浮かんできました。
  最近ではこの[MOMENT]&[WILL]、お勧めですよ。
  それから、作家で選ぶと「野沢尚」が好きですね。江戸川乱歩賞の「破線のマリス」をはじめ野沢ミステリをいくつか読みましたが、ぐいぐい物語に引き込んでいく力、会話のうまさ、個性豊かな人物造形、ドラマの秀逸さ等々、解説者のほめ言葉のとおり本当に面白いです。
  最近また野沢尚を読もうと、今まで読んでいなかった青春ものの「反乱のボヤージュ」を読んで、このジャンルでもこんなに面白いんだと改めて感じ、自分の大学生活を思い出しながら胸が熱くなる思いがしました。こんなすばらしい作家がなぜ44歳の若さで自ら命を絶ってしまったのか・・・残念です。彼の全18冊のうち次は「龍時」3部作を読もうと思っています。
  野沢尚を読んでいないかた、まず「破線のマリス」「深紅」いかがですか。