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よくあるご質問

よくあるご質問

法令基準日は平成25年9月1日現在です。
実際の適用に当たっては、所属税理士一覧に記載の日野支部所属税理士にご相談ください。

住宅関連税制編

医療費控除編

海外勤務編

その他

法人税・消費税編 

相続税編

贈与税編

譲渡税編

教育資金の一括贈与の非課税 編


住宅関連税制編

住宅に関する税金を教えてください。

住宅に関する税金は、購入した時にかかる税金、親等からの贈与で購入するときにかかる税金、売却もしくは買い替えでかかる税金と、大きく分けてこの3つに分類されます。

住宅を購入したらどういう税金がかかりますか?

住宅を購入した時にかかる税金は、下記のとおりです。

 

  • 登録免許税(国税) → これは購入した時に諸費用にすでに入っています。いわゆる登記料です。
  • 印紙税(国税) → 契約書に貼る収入印紙です。
  • 不動産取得税(地方税) → これは購入した時に、一回だけかかります。
  • 固定資産税・都市計画税(地方税) → これは不動産を所有している間、毎年かかります。
住宅ローン控除について教えてください。

 住宅ローン控除とは、ある一定要件(面積制限やローン期間等)を満たすと、原則として、最大で年末のローン残高の1%の金額を所得税及び住民税から控除す ることができる制度です。最大で10年間適用可能ですが、入居する年によって控除額が変わります。また、現在は平成29年入居者までが適用できる制度と なっています。

住宅の購入に際し、親からの資金援助を受ける場合、どういう方法がありますか?

資金援助については、下記の4つの方法があります。

 

  1. 暦年課税制度 
    → 1月から12月までの1年間であれば、110万円に一定の金額(注1)を加算した金額までは非課税です。
  2. 相続時精算課税制度 
    → 65歳未満の親から20歳以上の子供に対して使える制度で、非課税額は2500万円に一定の金額(注1)を加算した金額です。ただし、相続時には課税対象になります。
  3. 共有名義 
    → 親と一緒に買う方法で出資割合で持ち分を登記する方法です。
  4. 金銭消費貸借契約 
    → 親から借りる方法ですが、一定の手続きが必要です。

 

(注1)贈与年が平成24年の場合は1,000万円、平成25年の場合は700万円、平成26年の場合は500万円となります。

(注2)上記1、2は、受贈者の所得要件があります。

住宅を売ったら税金はかかりますか?

 購入した時の金額と、売却した時の金額を比較して、利益が出ればその利益に対して税金がかかります。税率は、その売却物件の所有期間によって異なりますが、5年超の場合は20%(所得税15%住民税5%)、5年未満の場合は39%(所得税30%住民税9%)となります。

自宅の贈与について配偶者の特例があると聞きました。どんな制度ですか?

 結婚して20年以上経過した夫婦間であれば、自宅の持ち分もしくは自宅を購入する資金を最大2000万円まで非課税で贈与することができます。ただしこの制度は一生に一回しか適用できませんので、いつ適用するかは検討が必要です。

リフォームした場合

 自己資金で省エネやバリアフリー等の一定の住宅リフォームをした場合、居住年により一定の住宅投資減税が適用されます。

医療費控除編

医療費控除とは、どのような制度ですか?

自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の医療費を支払った場合には、次の算式で計算した金額を所得金額から控除することができます。

 

(その年中に支払った医療費を補てんする 医療費の総額  

 -  保険金等の額 ) 

- 10万円 

         = 医療費控除額(200万円限度)

 

(所得金額が200万円未満の 人は、所得金額の5%の金額);

 

控除となる医療費の範囲について教えて下さい

次の(1)又は(2)に当てはまるもので一定のものが対象です。

 

  1.  次のものの対価のうち、その病状や指定介護老人福祉施設におけるサ-ビスの状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額  

    イ. 医師又は歯科医師による診療又は治療  

    ロ. 治療又は療養に必要な医薬品の購入  

    ハ. 病院、診療所、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護 老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供  

    ニ. あん摩・マッサ-ジ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師など による施術  

    ホ. 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の 世話  

    ヘ. 助産師による分べんの介助

     
  2. 次のような費用で、医師等による診療等を受けるため直接必要なもの  

    イ. 医師等による診療等を受けるための通院費・医師等の送迎費、 入院・入所の対価として支払う部屋代・食事代等の費用、医療用器具等の購入・賃借・使用のための費用で、通常必要なもの  

    ロ. 自己の日常最低限の用をたすために供される義手、義足、松葉づえ、義歯等の購入のための費用  

    ハ. 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法などの規定により都道府県又は市町村に納付する費用のうち、医師等による診療等の費用に相当するもの及びイ・ロの費用に相当するもの
インプラントの費用は、医療費控除の対象となりますか?

 インプラントなど、自費による歯科診療費用も、医療費控除の対象となります。 ただし、容貌を美化するための費用などは、医療費控除の対象となりません。

人間ドックの費用は、医療費控除の対象になるのでしょうか?

 いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用は、疾病の治療を伴うものではないので、原則として、医療費控除の対象となりません。

薬局や薬店などで市販されているかぜ薬は、医療費控除の対象となるのでしょうか?

 かぜの治療のために使用した一般的な医薬品の購入費用は、医師の処方や指示がなくても医療費控除の対象となります。

要介護者等が介護サ-ビス事業者から受ける居宅サ-ビス等の費用は、医療費控除の対象となりますか?

 介護保険制度の下で、介護サ-ビス事業者から要介護者等が提供を受ける居宅サ-ビスで一定のサ-ビスに係る対価のうち、療養上の世話に相当する部分の金額については、医療費控除の対象となります。

足の骨折に伴い、松葉づえと車いすを購入しました。この購入費用は医療費控除の対象となりますか?

 松葉づえなどの器具の購入費用については、医師等による診療等を受けるため直接必要なものであれば、医療費控除の対象となります。

視力回復レ-ザ-手術(レ-シック)に係る費用は医療費控除の対象となりますか?

 医療費控除対象となります。

通院のためのタクシ-の利用料金は医療費控除の対象となりますか?

 タクシ-の利用料金については、一般的にはそのすべての金額が医療費控除の対象となるわけではありませんが、病状からみて急を要する場合や電車、バス等の利用ができない場合には、その全額が医療費控除の対象となります。

自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料などは医療費控除の対象となりますか?

 医療費控除の対象となりません。

領収証のない医療費は、医療費控除の対象にならないでしょうか?

 医療費控除を受ける場合には、医療費の領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示しなければならないので、領収書のない医療費は、原則として医療費控除の対象となりません。

健康保険組合からもらった「医療費のお知らせ」は、領収書の代わりになりますか?

 健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」は、医療費を領収した人の領収を証する書類に該当しません。

海外勤務編

納税管理人とはなんですか?

納税管理人とは、非居住者(1年以上日本を離れる予定の人)の代わりに、確定申告書を提出したり、税金の納付等を行う人のことをいいます。 基本的には誰がなっても良く、税理士や日本に残った家族がなることが多いですし、会社員の場合は、会社の総務課の人がなったりすることもあります。 

納税管理人は必ず必要ですか?

 転勤等で1年以上日本を離れる予定の人は、出国の翌日から「非居住者」となります。非居住者が日本で課税されるのは、日本国内で発生した所得があるときで す。 例えば、会社員が海外へ転勤になり、海外勤務分のお給料のみが所得のときは日本で課税されません。従って納税管理人も不要です。しかし、日本に貸家を持っ ていて、家賃収入(不動産所得)があるときは不動産所得に対して所得税が課税されますので、確定申告が必要になります。この場合、非居住者に変わって申 告・納税等をするために納税管理人が必要になります。確定申告が必要なときは、出国する日までに納税管理人を決めて税務署に届出をします。

納税管理人の届出をしないとどうなるの?

確定申告書の提出期限や扶養控除などの判定時期に影響します。

 

  1. 納税管理人の届出をした場合  

    (確定申告期限)  
    3/15までに出国→→→→ ・前年分の所得を当年3/15までに申告、当年分の所得を翌年3/15までに申告  
    3/16以降に出国→→→→ ・当年分の所得を翌年3/15までに申告

    (扶養控除等の判定時期)  
    ・出国した年の12月31日の現況で判定

     
  2. Ⅱ 納税管理人の届出をしない場合  (確定申告期限)  

    3/15までに出国→→→→ ・前年分および当年分の所得とも、出国の日までに申告  
    3/16以降に出国→→→→ ・当年分の所得を出国の日までに申告

    (扶養控除等の判定時期)  
    ・出国した時の現況で判定 

その他

年金をいくらもらったら確定申告をしなければいけないのでしょうか?

平成23年度の改正で、その年中の国民年金や厚生年金・共済年金などの公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ公的年金等以外の所得金額が20万円以下である場合は確定申告書を出さなくてもよくなりました。    (注) 上記の場合であっても医療費控除による所得税の還付を受ける為の申告書は提出できます。   (注) 公的年金等以外の所得税が20万円以下で所得税の確定申告書を出さなくてもよい場合であっても 住民税の申告が必要です。

還付申告書はいつから出せますか?

平成23年度から 所得税の確定申告書の提出期間(その年の翌年2月16日から3月15日まで)について申告義務のある者の還付申告書の提出期間はその年の翌年1月1日から3月15日とされました。 

*申告義務のある者とは、所得税確定申告書 第1表の差引所得税額に税額がある者です。

東日本大震災でローンが残っている住宅が全壊。 ローン控除はどうなるの?

 住宅借入金等特別控除の適用を受けていた方で大震災によりその住宅に住めなくなり、その翌年以降も住宅借入金等が残っている時は、残りの適用期間について 引き続きこの控除の適用が出来る事とされました。その他にも震災関係については色々な特例が設けられています。詳しくは税理士にお尋ねください。

法人税・消費税編 

法人税とはどのような税金ですか?

 会社には株式会社などいろいろな種類がありますが、これらを法人といい、法人の所得に対してかかる税金が法人税です。

法人税の計算期間はいつですか?

 会社などが設立の際に設けた任意の期間を事業年度といい、通常は1年とされており、この期間をもとに法人税の計算を行います。

法人税はどのように計算されるのですか?

法人の一事業年度の利益をもとに、法人税法で定められた調整を行って、次のように税額を計算します。

 

 (収入)   -   (経費)   =  (利益)

 

  • 収入(益金):  商品の売上、資産の売却益、受取利息 など    
  • 経費(損金) :  商品原価 、外注費 、人件費  減価償却費 、諸経費、支払利息 など

 

収入から経費を引いた利益に法人税法で減算されるもの、加算されるものを加減して、 法人税が課される所得(A)を計算します。

法人税の税額はどうなってますか?

資本金1億円以下の法人を中小法人といい、中小法人の法人税額=①+②の金額

法人税が課税される所得(A)のうち800万円までの額×18% …①(A)のうち800万円を超える額×30% …② 中小法人以外の法人税額=(A)×30%となっています。

いつまでに申告するのですか?

 法人の代表者は事業年度が終了した日から2か月(一定の場合は3か月)以内に確定申告書の提出と税額の納付をしなければなりません。

新設法人がまずやる事(官公庁への届出)はなんですか?

■税務署  

  • 法人設立届出書・・・・・・・設立の日以後2ヶ月以内 (定款と履歴事項全部証明書の写しも添付する)  
  • 青色申告承認申請書・・・・・設立以後3ヶ月経過日と設立第1期の終了の日とのいずれか早い日    
  • 給与支払事務所等の開設届出書・・・事務所開設の日から1ヶ月以内  
  • 棚卸資産の評価方法の届出書・・・・設立第1期の確定申告書提出期限  
  • 減価償却資産の償却方法の届出書・・設立第1期の確定申告書提出期限
  • 都(県)税事務所   法人設立届出書・・・・・・・設立の日以後1ヶ月以内 (定款と履歴事項全部証明書の写しも添付する)
  • 市役所(町役場)  法人設立届出書・・・・・・・設立の日以後1ヶ月以内 (定款と履歴事項全部証明書の写しも添付する)

 

■社会保険事務所   健康保険・厚生年金を始める場合  

  • 新規適用届・・・・・・・・・事業開始後速やかに (給与規定と履歴事項全部証明書の写しも添付する)

 

■労働基準監督署 

  • 労災保険  適用事業報告・・・・・・・・・・・・・・・・事業所開設後遅滞なく    
  • 労働保険関係設立届・・・・・・・・・・・・・適用事業所となってから10日以内    
  • 就業規則の届出(従業員10名以上の場合)・・・作成後速やかに

 

■公共職業安定所  

  • 雇用保険  被保険者資格所得届・・・・・・・・・・・・・採用月の翌月10日までに
法人成りについて

 法人成りをすれば確かに節税は可能かもしれません。しかし、それだけに着目するのではなくてメリット、デメリットも勘案してトータルで法人成りを検討すべきです。

法人成りのメリット
  1.  事業所得から給与所得になるため給与所得控除が受けられるようになる
  2. 社会的な信用が増す
  3. 資金を調達し易くなる
  4. 優秀な人材を確保し易くなる
  5. 責任が有限となる
  6. 経営者の交代(事業継承)がスムーズに行える
  7. 会社契約の生命保険料を経費に落とせる
  8. 資本金1000万円以下なら原則2年間は納税義務が免除される。
法人成りのデメリット
  1. 事業所得から給与所得になるため青色控除(10万円or65万円)が受けられなくなる
  2. 会社設立はコストがかかる(株式会社なら約30万円程度)
  3. 経理・申告業務が複雑となる(ランニングコストが増える)
  4. 会社が赤字でも最低7万円の法人市民税・法人都民税等がかかる
  5. 交際費に限度額がある
  6. 社会保険への加入が強制となる
どういった場合に消費税の納税義務者となるのか?

消費税の納税義務者となる要件は、原則として、下記の①②のいずれかに該当する場合、消費税の納税義務者とはなりません。つまり、下記に該当しない場合には、消費税の納税義務者となります。

 

  1. 設立1期目または2期で各期の期首の資本金額が1,000万円未満であること。
  2. 設立3期目以降で前々期の売上高が1,000万円以下であること。
法人成した場合の消費税の納税義務者

 個人事業者が法人成りした場合には、上記①に該当すれば、個人事業時代に消費税の納税義務者であっても、法人の設立1期目及び2期目は消費税を納 める必要はありません。設立当初の資本金額の設定を 1,000万円未満にすることは、節税上、重要なポイントです。 *上記①とは、設立1期目または2期で各期の期首の資本金額が1,000万円未満であること

相続税編

(相続税とは何) 相続税ってどんな税金ですか。

 相続税は、人が死亡した場合の相続又は遺贈(遺言により財産を与えること)により財産を取得(収入)したことに対して課される税金です。生涯所得の精算を行うことや富の集中を抑制することなどが課税の根拠になっています。  ただし、相続や遺贈により財産を取得した人すべてに課されている訳ではなく、一定額以上(Q「相続税の計算方法」参照)の相続財産がある場合に課税されており、現在では被相続人(死亡した人)ベースでは100人死亡した中で約4人がその対象となっています。  課税割合4%(100人死亡して4人が対象)では少ないということから、6%程度を対象にしようという相続税の課税範囲の拡大と増税の改正案が国会で審議されています。

(相続税の課税財産) 相続税で課税対象となる財産にはどんなものがありますか。

 相続税の対象となる財産は二種類あります。  一つは、被相続人が所有していた土地・家屋・預貯金等を相続や遺贈という形で取得した財産です。基本的に金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものを言います。  もう一つは、上記の本来の財産ではなくても、実質的には相続や遺贈によって財産を取得したことと同様の経済効果があると認められるもので「みなし相続財産」と言われています。「被相続人が保険料を支払い、被保険者になっていた生命保険で、被保険者の死亡により相続人に支払われた死亡保険金」「被相続人が勤務していた会社から支払われる退職手当金」などが典型的な「みなし相続財産」です。  また、生前に被相続人から相続時精算課税(Q「相続時精算課税」参照)に係る贈与によって取得した財産、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産(相続や遺贈により財産を取得した人に限る)は相続税の課税対象となる財産に加算して相続税を計算することになっています。

(相続税の非課税財産) 相続税がかからない財産はありますか。

相続又は遺贈により取得した財産でもその財産の性質、社会政策的な見地、国民感情などから相続税の対策とならない財産(非課税財産)があります。主なものは以下の通りです。

 

  1. 墓地、霊廟、仏壇、仏具など。
  2. 相続人が受け取った生命保険金のうち次の金額。 500万円×法定相続人の数=非課税限度額
  3. 相続人が受け取った退職手当金のうち次の金額。500万円×法定相続人の数=非課税限度額
  4. 相続財産を申告期限までに国などに寄附した場合のその寄附財産。
(債務控除) 被相続人が借金をしていた場合、相続財産の価格から、その借金の額を引けると聞きましたが本当ですか。

 被相続人に係わる借入金等の債務がある場合や被相続人に係る葬式費用は、それを承継負担することによって相続税を負担できる力(担税力)が減ることになります。そこで被相続人に係わる債務や葬式費用は相続財産の価格から控除することができることになっています。

(相続税の計算方法) 父:山田一郎が死亡しました。相続人は母(父にとっては妻)と私達子供2人です。相続税の計算はおおよそどのようになるのでしょうか。父の財産は約6億8千万円、債務は約2億円です。

 相続税の計算方法は3つの段階に分けて計算します。第1段階と第2段階は、相続人等の財産を合わせた相続税の全体計算をします。

 [第1段階]相続税の計算の対象となる金額は?    

  財産680,000,000円    債務等200,000,000円   -------------------    課税価格の合計額※1 480,000,000円    

 課税価格の合計額   480,000,000円    基礎控除額      -80,000,000円    -------------------    課税遺産総額     400,000,000円

※ 1 課税価格の合計額は、実際には相続人ごとに「財産-債務」の計算をして、これを足していきます。

※  基礎控除(遺産に係る基礎控除)は今現在以下の様に計算されます。     5,000万円+1,000万円×法定相続人の数    この例の場合は、法定相続人が妻と子2人の計3名ですの    で5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円となります。    課税価格の合計額が基礎控除以下の場合(特例計算を使    う前)は相続税の申告義務はなく、相続税が課税される    ことはありません。 [第2段階]相続税の総額の計算       ここで相続税の総額(全体の税額)の計算をします。       計算には民法の法定相続分を使っていきます。       山田さんの例では以下の様に計算されます。       山田一郎[被相続人]  _  山田正雄(1/4)        |             |        |--------|        |             |       山田紀子(1/2)       L 高野真紀(1/4)    

※( )内が法定相続分で実際の財産分けがどのように行われるとしても、ここでは法定相続分で計算します。       各相続人の法定相続分に応ずる取得金額。       課税遺産総額 400,000,000円    山田紀子 400,000,000円 × 1/2 = 200,000,000円    山田正雄 400,000,000円 × 1/4 = 100,000,000円    高野真紀 400,000,000円 × 1/4 = 100,000,000円 各人に算出された金額に相続税の税率(相続税の速算表)をあてはめていきます。 山田紀子 200,000,000円×40%-17,000,000円=63,000,000円 山田正雄 100,000,000円×30%- 7,000,000円=23,000,000円 高野真紀 100,000,000円×30%- 7,000,000円=23,000,000円  第2段階の最後で算出された各人の税額を足していきます。その足した金額が相続税の総額、つまり今回の相続税の全体の税額となります。 63,000,000円+23,000,000円+23,000,000円=109,000,000円                          相続税の総額 → 109,000,000円    < 相続税の税額速算表 > ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  遺産に係る基礎控除額を控  除した後の各相続人の法定  税率   控除額  相続分に応ずる各取得金額 ─────────────────────────  1,000万円以下の金額     10% ─────────────────────────  1,000万円超3,000万円以下  15%  50万円 ─────────────────────────  3,000万円超5,000万円以下  20%  200万円 ─────────────────────────  5,000万円超1億円以下    30%  700万円 ─────────────────────────  1億円超3億円以下      40%  1,700万円 ─────────────────────────  3億円超           50%  4,700万円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [第3段階]各人の相続税額の計算 山田さんの例では課税価格の合計額4億円を分割協議により以下の様に分割しました。 山田紀子 200,000,000円(2億円)  50% 山田正雄 120,000,000円(1.2億円) 30% 高野真紀  80,000,000円(0.8億円) 20%   各人に課される相続税は、相続税の総額を各人が取得した財産の割合で配分していきます。   山田紀子 109,000,000円×  2億円/4億円= 54,500,000円                山田正雄 109,000,000円×1.2億円/4億円= 32,700,000円   高野真紀 109,000,000円×0.8億円/4億円= 21,800,000円   これで各人の相続税額が算出されましたが、最後に配偶者の税額軽減の特例を適用します。   配偶者の税額軽減は以下の趣旨により設定されています。 1.配偶者は被相続人と一緒に財産形成と維持を行ってきたこと 2.配偶者の老後の生活保障 3.財産を相続した配偶者の死亡(一般的に二次相続と言います)の時に相続人である子に相続税が課されること 配偶者の税額軽減の適用は        (1) 法定相続分までの取得        (2) 配偶者の課税価格 1億6,000万円       このどちらか大きい金額まで適用されます。   山田さんの例では 4億円×1/2=2億円≧1億6,000万円ですので、最高2億円まで配偶者である山田紀子さんが相続で財産を取得しても相続税の納付はありません。今回の例ではこれを目いっぱい使っていることとなります。実際の相続でもこの特例をかなり使って配偶者が相続することが大部分です。 結局、山田さんの相続税の計算では、子供2人が実際に相続税を以下の様に納付することとなります。 山田正雄   32,700,000円 高野真紀   21,800,000円 合計納付額   54,500,000円

(相続税の土地評価) 相続税の路線価という言葉を聞きますが、どのようなものなのでしょうか。

相続税の土地評価の基準となるのが各国税局から毎年(今はその年7月1日)発表される路線価です。国税庁のホームページに路線価図コーナーがあり、全国どこでもインターネットで簡単に路線価を調べることができます。  路線価は千円単位になっており、「200D」となっている場合、その路線に面する土地については1㎡当たり200千円=20万円で評価して下さいということになります。おしりについているDというのは、その地区の借地権割合(D→60%)を示しています。  したがって200Dの路線価の道路に面して120㎡の土地がある場合の相続税評価額は、200千円×120㎡=2,400万円となります。  ただし、実際に相続税の申告をするときには、これを基本にして「間口が狭い」「奥行きが長い」「土地の形が悪い」など色々な修正要素を加えていきます。適正な土地の評価(納税者の立場に立てば可能な範囲で低く)をすることが税理士の「腕の見せどころ」でもあります。  なお、郊外では路線価が設定されていない地区もあります。その場合は、その土地の固定資産税評価額を基準にして一定の計算をして相続税評価額を求めていきます。

(土地以外の相続税評価) 土地以外の財産はどのように評価すればよいのでしょうか。

相続税の財産評価は「時価」が基本となっており、相続開始時(死亡時)にいくらの金銭的な価値(交換価値)があるかで評価します。

土地についてはそれを前問の通り路線価方式で行っています。土地以外の主要な財産は以下の通りです。    

 

  • 家屋    :固定資産税評価額×1.0    
  • 預貯金   :死亡時の残高、定期性預貯金は利息もプラス    
  • 株式     :上場株式は取引相場。上場されていない株式はその会社の価値を個別に計算します。    
  • 死亡保険金等  :受取額(ただし非課税あり
(相続税の申告と納付) 相続税の申告と納税はいつまでにするの。

Q(相続税の計算方法)でお答えした通り、相続財産から相続債務を引いた金額が遺産に係る基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)を超える場合には相続税の申告書の提出義務があります。

 相続税の申告書の提出期限は「その相続の開始があった日」(通常は死亡日)の翌日から10ヵ月以内となっています。

例えば平成23年6月10日に死亡した場合は10ヵ月後の応当日、平成24年4月10日が相続税の申告期限となります。  相続税の申告は、通常相続人や受遺者(遺言により財産を取得した人)が一緒に行います。申告はご自身でも時間と手間をかければ不可能ではありません。

しかし、土地がある場合などは評価が難しく、また土地以外にも特例も多数ありますので、出来れば税理士に任せて頂いた方がよいと思われます。必要以上に税金を納付したり、後で修正申告等の手間がかかるということもありますので、ぜひ相談だけでもしてみて下さい。

 相続税が生ずる場合は、10ヵ月後の申告期限が同時に相続税の納期限にもなります。

納付は原則として金銭一時納付です。ただし、金銭で一時に納付することが困難な場合は最長20年間にわたって納める延納や金銭の代わりに土地等の現物で納付する方法(物納)もあります。延納や物納をする場合は厳格な要件がありますので、これらについてもぜひ税理士にご相談されることをおすすめします。

(相続税の申告報酬はいくら、どんな税理士に頼む) 相続税の申告を税理士に依頼した場合、概ねいくらくらいの報酬になるのでしょうか。また、税理士はどのようにして探せばよいですか。

相続税の申告報酬に限らず税理士の報酬は自由化されており、税理士会等の協定料金等はありません。したがって、個々のケースに応じて税理士に相談し、見積りを請求されることをおすすめします。  相続税の場合、一般的には遺産の金額がいくらあるのか(財産総額)、及び遺産分割等が円滑に進むかという2つの要素で報酬の額が決まる傾向があると思います。したがって、ただ漠然と聞くのではなく見積り依頼する場合も概ね財産がどれくらいあるのかということを判断する情報提供は必要です。土地・家屋であれば毎年5月に市役所等から送られてくる課税資産明細書。預貯金の総額等の情報です。これらの情報を提示し見積りをご依頼下さい。見積りを依頼する段階で報酬が発生することは少ないと思われますので安心して見積りを依頼して下さい。また、税理士には厳重な守秘義務があり、もし依頼しなかった場合でも情報が漏れるということはありません。  どんな仕事でもそうですが、報酬額は仕事を依頼するときの一つの要素です。 「安かろう、悪かろう」ということはないと思いますが、報酬以外の部分「経験」や「信頼感」などもよい仕事をする上で重要な要素となります。その辺の判断は難しいと思いますが、色々質問をし、会話をされる中でその税理士の信頼性やご自身と合う合わないの感触を探って頂くのがよいと思います。  ぜひ、このホームページの所属税理士一覧で近隣の税理士からピックアップしお話しをしてみて下さい。

贈与税編

(贈与税って何?) 贈与税はどのようなときに課税される税金ですか。

 相続税は、相続開始のときに被相続人が所有していた財産を相続することにより課税されます。そうであれば生前のうちに財産を子や孫などに贈与してしまえば相続税は課されないことになります。これでは誰も相続税を納付しなくなってしまいます。  そこで、生前贈与に対する課税を設けて相続税の回避措置を防止することとした訳です。「贈与税」が「相続税の補完税」と言われる所以です。  なお、贈与税は贈与を受けた者(受贈者)に納税の義務があります。

(贈与税の課税財産) 贈与税が課税される財産にはどのようなものがありますか。

 贈与税が課税される財産も相続税同様本来の贈与財産に加え、みなし贈与財産と言われるものも課税の対象となります。  贈与とは財産を無償で「あげる」といい、相手方が「もらう」といって合意ができたときに成立する一種の契約です。一般的には親子などの親族間で金銭や土 地など「あげる」「もらう」が行われますが、これらの贈与財産が本来の贈与財産です。  これに対して、みなし贈与財産は本来の(民法上の)贈与財産ではありませんが、その経済効果が実質的に贈与を受けたと同様な場合に税負担の公平を図るた めに贈与税を課税するもので、主に次の様なものがあります。 1. 満期生命保険金等  「夫が保険料を支払い妻が満期保険金を受け取った。」という場合の様に保険料負担者と満期保険金等の受取人が異なる場合には満期保険金等の金額がみなし 贈与とされます。 2.低額譲渡  「本来1,000万円の価値のある土地を子に100万円で売却した。」というのが典型的なケースです。1,000万円-100万円=900万円がみなし 贈与とされます。 3.債務免除等  父が子に1,000万円の貸付けをしました。最初の120万円は順調に返済されていましたが、ある時期から全く返済が行われず、父も請求することはしま せんでした。このような場合で子の債務が免除されたと判断されると1,000万円-120万円=880万円がみなし贈与とされます。

(贈与税の非課税財産) 贈与をしても贈与税がかからない財産にはどのようなものがありますか。

 贈与により取得した財産でもその財産の性質又は贈与の目的等からみて贈与税を課税することが適当ではないものがあります。主なものは次の通りです。 1. 法人からの贈与により取得した財産   贈与税は個人から個人の贈与を前提としていますので法人(会社など)から贈与を受けた場合は対象となりません。ただし、この場合贈与税の対象にはなら なくても所得税(一時所得)の対象になることにご注意下さい。 2.扶養義務者から生活費や教育費として贈与を受けた財産   親が子に日常的な生活費や教育費を渡しても当然贈与税が課されることはありません。   また、祖父が孫の大学入学金300万円を出してあげたという場合も教育費に当たるため贈与税は非課税です。ただし、この場合贈与した金額と大学入学金 は直接的な関係が問われますので、祖父が自分の口座から直接入学金を振り込む等してその関係を明確にしておくのがよいと思います。いったん祖父から親の口 座に振り込み親がそのうちの一部を入学金として後日充当した、というのでは関係があいまいになってしまいますので避けた方がよいでしょう。  なお、扶養義務者とは主に配偶者、直系血族、兄弟姉妹や一緒に生活している三親等内の親族のことです。 3.社交に必要と認められる香典・祝物・見舞金等  これらも社会通念上妥当な金額であれば当然非課税です。祖父が孫の小学校入学のお祝いにランドセルと3万円の祝金を送ったというのは大丈夫ですが、その 祝金が200万円だったとすると、これは一般的には祝金の範囲を超えていると判断されるでしょう。

(暦年課税方式の贈与税の計算) 110万円までは贈与税がかからないと聞きましたが、贈与税はどのように計算するのですか。

贈与税の計算方法一般的な「暦年課税」といわれる方式があり、選択により「相続時精算課税」という方式も選ぶことができます。  暦年課税方式は、読んで字のごとく暦年(1月1日から12月31日まで)にいくらの贈与を受けたのかで贈与税を計算します。ある年の山田さんの贈与税を例に計算してみましょう。

           山田さん(受贈者) 鈴木さん  贈与 (贈与者) →→   50万円    

          中川さん  贈与 (贈与者) →→  180万円      課税価格 230万円      230万円-110万円=120万円(基礎控除後の課税価格)             ↑ 基礎控除(受贈者1人年間110万円)     (基礎控除以下の場合は申告義務も納税義務もありません。) 120万円×10%=12万円(山田さんの贈与税額) < 贈与税の税額速算表 > 基礎控除後の課税価格     税率    控除額 200万円以下の金額      10% 200万円超300万円以下    15%   10万円 300万円超400万円以下    20%   25万円 400万円超600万円以下    30%   65万円 600万円超1,000万円以下   40%   125万円 1,000万円超            50%   225万円

(相続時精算課税って何) 2,500万円までの贈与について税金がかからない仕組みがあると聞きましたがどのような制度なのでしょうか。

前問の暦年課税方式とは異なる相続時精算課税という贈与税の課税方式があります。読んで字のごとく、2,500万円までの贈与についてはとりあえず贈与税をかけずに贈与者の相続時にその分を相続税で課税しようという制度です。 1.どんな場合に使えるの   贈与する人  :贈与する年の1月1日に満65歳以上の親   贈与を受ける人:贈与を受ける年の1月1日に満20歳以上の子   贈与財産は :贈与する財産の種類や価額、贈与回数に制限はありません   贈与税申告  :この制度の選択をした旨の届出が必ず必要です 2.精算課税の計算(贈与時)は   贈与財産価額-2,500万円(特別控除限度額)   複数年にわたり使用可能、2,500万円を超えた部分に一律20%の課税    (例)松田雄司さん(25歳)は、父:松田良雄さん(68歳)から以下の贈与を受け相続時精算課税を選択した。          [1年目] 2,200万円の贈与 2,200万円-2,200万円(特別控除額)= 0 税金はかかりません           [2年目] 800万円の贈与 800万円-(2,500万円-2,200万円)=500万円  500万円×20%=100万円 100万円の贈与税がかかります。 3.相続時の計算は   この制度の適用を受けた贈与者が死亡した場合には、この制度を選択した贈与財産の価額を相続財産の価額に合算して相続税の計算をします。そのとき、この制度で既に納付した贈与税は相続税から控除することができます。 (例)松田良雄さんが死亡したとき。松田雄司さんは6,000万円の相続財産を取得した。 松田雄司さんの相続税の計算 6,000万円+(2,200万円+800万円)=9,000万円 松田雄司さんが9,000万円の財産を取得したとして他の相続人と合わせて相続税の計算をしていきます。なお、2年目の贈与のときに納付した100万円は松田雄司さんの相続税から控除することができます。 4.この制度を使うのかどうかのポイント  ・相続財産に合算する贈与財産の価額は贈与時の価額になります。    値上がりする(と思われる)財産を贈与。  ・この制度を選択した親子はこの制度を親の相続のときまで継続して適用し、暦年課税に戻ることはできません。  ・贈与者である父・母ごと、贈与を受ける子ごとにこの制度と暦年課税制度の適用を受けることができます。 父からは相続時精算課税の贈与、母からは暦年課税の贈与を受けるのも可能です。  ・この制度を使うことができるのかどうか、有利なのか不利なのかは判断が難しいことがありますので、ぜひ税理士にご相談下さい。

(贈与税の特例1:贈与税の配偶者控除) 夫から贈与を受けても贈与税がかからない制度があるそうですが、どんな場合に使えるのでしょうか。

 夫婦間の贈与については、1.同一世代間の贈与であること、2.夫の死亡後の妻の生活保障という趣旨から居住用不動産等について2,000万円まで贈与税がかからない配偶者控除の制度が設けられています。   1.どんな場合に使えるの    ① 婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与であること(婚姻中一回のみ)    ② 自らの居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること    ③ この特例の適用を受ける旨の贈与税申告書の提出が必要です。   2.控除できる金額は     配偶者控除額は最高2,000万円です。暦年課税の基礎控除額110万円と合わせると2,110万円までの贈与価額まで税金はかかりません。

(贈与税の特例2:マイホーム取得資金の贈与税の非課税) 今年中(平成23 年中)にマイホームを取得しようと思っています。親などからマイホーム取得のために資金贈与を受けても税金がかからない制度があるそうですが、その概要を教えて下さい。

 平成23年に限りマイホーム取得資金を親や祖父母から贈与を受けた場合、最高1,000万円までは非課税(税金がかからない)の制度があります。景気対策の一環として住宅建設を促進しようと平成22年から設けられたもので、今現在の制度は本年までの特例です。

 

1.どんな場合に使えるの   

  1. 贈与する人………父母・祖父母である直系尊属からの贈与   
  2. 贈与を受ける人…贈与する人の子又は孫で、年間の合計所得金額が2,000万円(給与収入(・・)では約2,284万円)以下であること   
  3. 贈与財産…………翌年3月15日までに贈与資金の全額をマイホーム取得資金に使い、そのマイホームに居住すること   
  4. 贈与税申告………贈与の翌年3月15日までにこの特例を受ける旨の贈与税申告が必要です。

 

2.非課税の限度額は 1,000万円(平成22年は1,500万円だった) 暦年課税・相続時精算課税のどちらの制度にも使うことができます。

 

3.この制度を使いたいと思っている方は、制度が使えることを確実にするためにもぜひ税理士にご相談下さい。

譲渡税編

(譲渡税って何) 土地を売ったときにはかなりたくさんの税金を納めるようだと聞きましたが、どのような仕組みになっているのでしょうか。

個人の「もうけ」(所得)については所得税がかかります。所得税は「もうけ」の種類で10種類に区分されており、そのうち資産の譲渡による「もうけ」(キャピタルゲイン=所有資産の価値の増加益)を計算するのが譲渡所得です。さらに土地建物や株式等の譲渡については分離課税といって他の所得と切り離して税金を計算します。  譲渡所得も所得税の一つですので以下の様にいくら「もうかった」かで税金を計算します。

 

収入-(取得費+譲渡経費)=譲渡所得  譲渡所得×15%=譲渡所得税(国税)  譲渡所得× 5%=住民税(地方税)   

 

 (例)土地売却収入3,000万円       取得費    600万円(30年前に購入)       譲渡費用   測量費110万円、仲介手数料90万円 3,000万円-(600万円+110万円+90万円)=2,200万円 2,200万円×15%=330万円(譲渡所得税) 2,200万円× 5%=110万円(住民税) 譲渡税計     440万円

 

  ※ 上記の税額計算は長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日に5年超の所有期間あり)の税率です。5年以下所有の短期譲渡所得は所得税と住民税合わせて39%の税率です。   

  ※ 3,000万円で購入した土地を2,000万円で売却したというように赤字(譲渡損失)が出る場合は税金はかかりません。

  ※ 相続・贈与等で取得した土地家屋等は、特別な場合を除き前所有者の所有期間と取得費を引き継ぎます。

  ※ 取得費がわからない場合は、収入金額×5%が取得費となります。

(譲渡所得の特例1:居住用家屋等を売却した場合の特例) 自分の住まいを売った場合にはかなり税金が軽くなるということを聞きましたが、どのような特例があるのですか。

 居住用家屋等は生活の拠点であり、また売却後に新たな居住用家屋の取得もする場合も多いため担税力(税金を負担できる力)を制限されることから、いくつかの特例措置が設けられています。  最もよく使われているのが「居住用財産の譲渡所得の特別控除」(3,000万円控除)です。譲渡による「もうけ」が3,000万円までは税金がかからないという、大変有利な特例です。    (例)山本三郎さんは30年前に購入し、居住していた自宅を売却しました。       30年前の購入価格 土地 1,200万円                 家屋 1,800万円(売却時に取り壊した)       譲渡収入      土地 3,500万円       譲渡費用  家屋取り壊し費用 200万円       仲介手数料   100万円 3,500万円-(※1,200万円+200万円+100万円)-2,000万円=0 (譲渡所得なし)                                  ↑ 居住用財産の譲渡費用の特別控除(最高3,000万円)  ※ 土地は使用することで価値が目減りしないため、購入価格をそのまま取得費として収入から引くことができます。家屋は使用することで価値が目減りしますので「減価償却」という方法で取得費の計算をします。本事例では家屋の取得費は便宜上0円としています。

(譲渡所得の特例2:居住用家屋等を売却した場合の特例以外(・・)の特例) 居住用財産を譲渡した場合以外にはどのような譲渡所得の特例がありますか。

 居住用財産以外でも土地家屋等を譲渡した場合には色々な特例がありますが、主なものは次の通りです。 なお、居住用財産の譲渡も次のそれ以外の譲渡所得の特例も納税者にとって非常に有利な特例ですが、金額も大きくその特例が使えるのか、計算はどのようにするのかはかなり難しい所があります。特例を使おうかな、使えるのかなと思ったら、ぜひ税理士に相談してみて下さい。

 

①収用交換等の場合の5,000万円の特別控除  →国や地方公共団体に道路・学校等を建設するため等の理由で土地等を収用される場合。拒むことはできない強制力を持ったものであるため、大きな控除額となっています。次の代替資産の取得とこの特例の選択となっています。

 

②収用等の場合の課税の繰延べの特例  →収用等で補償金の交付を受け、その補償金で代替資産を取得した場合は、その代替資産の取得に充当された部分の金額については税金が課されません。  ただし、そのときは税金はかかりませんが、その代替資産を将来譲渡した場合には、その分の税金がかかる仕組みになっています。(課税の繰延べ)

 

③固定資産を交換した場合の特例  →土地や家屋等の固定資産を一定の条件で等価交換した場合は、実質所有を引継いでいると考えられるため譲渡はなかったものとされます。

 

④特定の事業用資産の買換えの場合の特例  →個人が事業の用に供している土地建物等を譲渡し、一定期間内に一定の事業用財産を取得し事業の用に供した場合には、課税の繰延べ(先送り)をすることができる特例があります。

 

⑤相続財産を譲渡した場合の取得費の特例  →相続又は遺贈により取得した資産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告書の提出期限(10ヵ月)の翌日以降3年以内に譲渡した場合には、その相続人等が納付した相続税のうち一定の金額を取得費に加算して譲渡所得を計算することができます。   

 

(例)田中安雄さんは、昨年父から相続した土地を相続税納税のために売却しました。   田中さんが納付した相続税     1億円   田中さんが相続した財産の評価額  5億円   そのうち土地の評価額       4億円             譲渡収入   1億2,000万円   取得費    不明(概算取得費:1億2,000万円×5%=600万円)   譲渡費用   測量費:150万円、仲介手数料:350万円   1億2,000万円-(600万円+※8,000万円+150万円+350万円)   =2,900万円(譲渡所得)  ※取得費加算額の計算 1億円×4億円/5億円  = 8,000万円 2,900万円×15%=435万円(譲渡所得税)  〃   × 5%=145万円(譲渡に係わる住民税)  合  計    580万円(譲渡税合計)

教育資金の一括贈与の非課税 編

「教育資金の一括贈与の非課税」とは、どのような制度ですか?

将来の複数年間にわたり教育にかかるお金を、その親や祖父母から贈与されたとき、通常はもらった人に「贈与税」が課されますが、一定の手続を経てこの制度で贈与を受けると、最大1500万円までは贈与税が非課税になる、という制度です

この「教育資金の非課税」制度を適用するための条件は?

 主に下記のようなものです。

 

  • 金融機関(信託銀行、証券会社など)で、1500万円以内の金額を子や孫に贈与する「教育資金管理契約」を結ぶこと。  
  • 贈与を受ける人は、その「教育資金管理契約」の締結時において『30歳未満』であること。  
  • 贈与をする人は、その贈与を受ける人の『直系尊属(実の親や、直系の祖父母・曾祖父母など)』であること。  
  • 平成25年4月1日〜27年12月31日の間に、「教育資金管理契約」の締結をすること。
贈与契約した金額は、全額が確実に贈与税なしで贈与できるのですか?

いいえ、教育のための支出に使われなかった金額は、通常の贈与税がかかってしまいます。

 下記の「契約が終了するとき」の①の場合、つまり、贈与されたお金を使い切らずに30歳になった場合には、その残高を、30歳になった年に『贈与 を受けたものとみなして』贈与税を申告・納付しなければなりません。例えば、贈与を受けた者が平成40年に30歳になり、教育資金の残高が300万円で あったときは、19万円の贈与税がかかります(平成40年に他の贈与を受けていない場合)。

 ですから、一般的には、必要な額を予測して多すぎない程度の金額を贈与するのがよいでしょう。

 ただし、「贈与者の相続税率」が「余った教育資金の額に対する贈与税の税率」より高いと見込まれる場合には、あえて使いきれないほどの額の贈与をすることも考えられます。 

この制度による契約は、いつ完了するのですか?

「教育資金管理契約」の終了のしかたは、下記の3つのパターンがあります。

 

①贈与を受けた者が、30歳になった時

 

②贈与を受けた者が、死亡した時

 

③契約した「教育資金」が残高0になったとき(使い切った時)

  

 なお、①の場合には30歳になった時に贈与税がかかりますが、②と③の場合には贈与税はかかりません。ただし、②の場合は、残ったお金は贈与を受けた者の財産となりますので、贈与を受けた者の死亡に伴う『相続税』の課税対象になります。

「教育資金管理契約」が終了する前に、贈与した者が死亡した場合はどうなりますか?

  贈与した者が死亡しても、この契約は終了せず、上記の①〜③のいずれかとなるまで、贈与を受けた者は引き続き教育資金を使っていきます。もしも、贈与者 が死亡したあとに、贈与を受けた者が30歳となり、残高があって贈与税を申告するときは、いわば「架空の個人」から贈与を受けたものとして贈与税を申告す る、という妙な手続となります。

この制度で、祖父から1500万円、祖母から1500万円の贈与を受けることはできますか?

  いいえ、贈与する人の数に関わらず、『贈与を受ける人ひとりにつき1500万円』ですので、ご質問のような贈与を非課税で受けることはできません(祖父母2人合計で1500万円までが非課税の限度となります)。

この制度の「教育資金管理契約」が続いている間、通常の年110万円までの贈与税の非課税枠を適用することはできますか?

できます。

この制度がなくても、教育費の贈与の非課税規定はあったとのことですが、何が違うのですか?

 もともと、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」は、必要な都度贈与した場合に限って非課税、という規定があります。  従来の非課税規定に対して、この「教育資金の非課税」制度の特徴といえるのは、①一括贈与できるのでその都度という煩わしさがないこと、②この制度で贈与をしてしまえば、贈与者が契約途中で死亡した場合でも、贈与者の財産には戻されないこと、などがあげられます。

2歳の子に、祖母からこの教育資金の贈与を受けさせようと思います。こんな幼児でも契約していいのですか?

 贈与を受ける者が未成年者の場合は、その親権者が代理人となって契約できます。「教育資金」には、幼稚園や保育園の費用も該当しますので、幼いうちからこの制度を利用すればより効果が高いと思われます。

この制度の「教育資金管理契約」をした後に、急な事情で生活費に困るようなことが生じたら、解約できますか?

解約はできないこととなっています。

祖父と祖母の2人が孫に贈与する場合、2人とも金融機関に行って契約しないといけませんか?  1人は足が悪く、支店へ出向くことが困難なのですが。

  各金融機関の対応のしかたによりますが、贈与者は書面のみで契約に応じる金融機関もあるようです。まず、関係者のどなたかが、支店で説明をきくとよいでしょう。

非課税となる「教育費」には、具体的にどのような費用が含まれますか?

 まず、この制度で非課税の対象となる教育費は、大きく2つに分けられます。「学校等」は1500万円まで、「学校等以外」は500万円までが非課税限度です。ただし、両方合計で1500万円が限度となります。

 

 「学校等」には、幼稚園、保育園、認定こども園、小・中・高・大学・大学院、専修学校、各種学校などが含まれます。 

料理学校や、法律・会計の専門学校は「学校等」に含まれますか?

 「学校等」に該当するものも多いですが、文部科学省が専門学校・各種学校ごとに個々に認定していますので、文科省のホームページでご確認ください。

学校の遠足代、教科書代、文房具代、PTA会費などは「学校等」の教育費になりますか?

 遠足代、教科書代、PTA会費で学校等に直接支払い、学校等の領収書が発行されるものはOKです。業者や街の店舗から購入する教科書・文具は非課税の対象になりません。(学校がそれを認定する書面を発行するものは「学校等以外500万円」の方に該当するものもあります)

大学に通うために住み始めた「下宿代」は?

  学校直営の寮などで、学校等に直接支払って領収書も発行される場合は認められますが、それ以外は非課税の対象となりません。

「学校等以外」の、500万円まで非課税の具体例は?

  いわゆるお稽古ごとの多くが該当します。

 

対象となるものを列挙すると、学習塾、家庭教師、そろばん塾、ボーイスカウト等の体験活動、スイミング、野球指導、ピアノ、絵画、習字教室など。

 

 また、これらのための道具(テキスト、お稽古の道具など)は、その指導をする者(会社)から購入したもののみ認められます。市販のピアノや参考書の購入費などは非課税の対象になりません。 

スポーツジムは非課税の対象となりますか?

 インストラクター等から指導を受ける支払に限り、対象となります(「学校等以外」の500万円枠)。

 

 単なる施設利用料は、非課税の対象外です。

 

 対象となるものは、その領収書に「テニススクール7月分指導料・1時間×4回分として」など、指導内容の記載が必要です。

平成25年10月に信託銀行と「教育資金管理契約」をしましたが、25年4月に大学の1年分の学費100万円を払っていました。このうち全額でなくともせめて25年10月〜26年3月までの半年分の50万円を、この制度の非課税の対象にできませんか?

  できません。この制度では、贈与されたお金を「教育費の支払いに充てた」という順序が満たされていないといけません。ですから、たとえ長期に効果がわたる支出でも、契約前に支出したものは、この制度の非課税の対象にはなりません。